今年は100回大会という話題もあり盛り上がった高校野球ですが、開幕当初に騒がれていた酷暑による競技の是非、昔から言われている投手の酷使の問題も時が過ぎれば一切問題が問われず、何も変わらないまま次の大会も普通に行われてしまうのが非常に残念です。
最近はスポーツ選手を目指すために競技に専念する子供たちが非常に増え、練習も熱心に取り組み、長時間に渡る練習を行い専門の指導者に見てもらったりと、ますますその拍車がかかり子供たちは頑張っています。
しかし、高校野球での問題もさることながら、小さいころからハードな練習を続けることにより故障を抱えてしまうことが多いのも事実です。子供たちは「期待に応えよう」と思い「他のみんなに置いて行かれる」と焦ったりして、なかなかケガや痛いことを言い出せない状況であります。また指導者や保護者も過剰な期待や「みんな痛いと思いながらなっているんだ」というある種強要に近い言動や行動をとることによって、無理して練習を続けてしまうことで、痛い所はケガが悪化したり重症化してしまうことも多いものです。
例えば10代に多い腰痛の一つに「腰椎分離症」というものがあります。腰椎の関節突起の部分が分離してしまい、一種の骨折なので腰の痛みを訴えるものです。これは多くがトレーニングのし過ぎが原因なのですが、子供たちも腰の違和感や痛みを感じながらもなかなか訴えづらい状況で、本当につらくなって初めて言えることが多いのです。
しかし多くの指導者は知識が不足していたりするので「腰が痛い」という子供には「甘え」だという態度とったりします。それは保護者も同様なものです。子供たちの身体には過度な練習量をして「疲労骨折」させているだけなのですが、自分たちの指導やトレーニングには目を向けず、子供たちに非があるような言動や態度をとって子供たちを苦しめています。
子供たちの身体は悲鳴を上げています。それを子供たちは指導者や保護者を忖度してなかなか声を上げていません。「痛い」と言えないのです。言ったら言ったで「ずる休み」や「甘え」と言われてしまうのです。そしてどんどん言うこともできず、結果最悪な状況になってしまうのに今度は「何で言わないんだ?」と怒られてしまう時もあるのです。
指導者や保護者は子供たちのタメという大義名分で子供たちを苦しめています。それではせっかく好きで始めたことも嫌いになってしまいます。もっともっと子供たちの健康を考えてあげてほしいものです。子供たちの健康を奪ってまで行うスポーツはあってはならないのです。もっともっと子供たちが健康でスポーツが楽しめるように大人が配慮してあげないといけません。