首や肩、腰や膝身体の痛みでお悩みの方に多いのが、その箇所自体の動きが少なくなっているという点です。例えば「以前より肩を上げると痛い」とします。ご本人としては「今痛いわけではない」「生活には問題がない」とおっしゃりますが、それでも動きが悪いことは否めません。痛いから動かしたくないのはわかりますが、しかし、「痛いから動かない」のではなく、「動かさないから痛い」とも言えるのです。
「動かすと痛い」⇒「痛いことは嫌。動かさない」⇒「また動かしてみる。痛い」⇒「動かすのやめよう」⇒「動かなくなる」⇒「また・・」この悪循環が続きます。
肩の動きには6方向があります。屈曲、進展、外転、内転、外旋、内旋であります。可動域の検査を行う際にも全ての動きを行うのですが、この6つの動きが全て痛いことはほとんどありません。肩の場合でいえば多くが外転(腕を伸ばした状態で外に挙げていく動きです)が痛いことです。肩を挙げると痛いから挙げることを止めてしまいます。しかし、生活的にはそれで慣れてしまい、不便を感じることが少なくなるので痛いのですが放っておいてしまいます。
しかし、痛いから動かしたくないのはわかりますが、積極的に動かしていかないと、良くなるものもよくなりません。
そこで、外転以外の5つの動きはそんなに痛みもなく動かせる場合であれば、この外転の動き以外を行ってほしいのです。また、外転が痛いとしてもその挙がる角度も大事です。真横に挙げていくのですが、角度的に何度上げるところで痛みが出るのかをみてほしいのです。例えば90度までは大丈夫。そこから上に上がると痛いというならば、85度までは動かしてほしいのです。
またこの動きも腕を伸ばして行うことが多いのですが、肘を曲げて腕を畳んだような感じではどうなのか?座ったらどうなのか?仰向けで寝ながらでも同じなのか?を考えてほしいものです。
動かした方がいいのですが、そうなると中には「逆療法」という言葉も存在します。痛いのを無理して行った方がいいというものです。昔の考えでしょうが、よくスポーツ漫画の伝説的なものとか、民間療法の噂話的なものでよく聞かれます。良薬口に苦しではありませんが、お勧めはしません。
多くが失敗に終わります。痛くなるだけです。ごくごく稀に成功例があり、それが尾ひれが付いて、あたかも成功するみたいに思われますが、ほとんどバイアスのかかった話でありますので、逆療法はやめてほしいものです。
肩が痛いと何をしても痛いと思うのでしょうが、痛くないところでいいので、その部分は積極的に動かしてほしいのです。それで充分です。動かさなければ痛くないから動かさないというのは気持ちわかりますが、それでは何にも解決できませんし、また更なる痛みを生み出したり、長引かせてしまってしまうものです。
肩のことで例えましたが、これはどの身体の部位にも言える話です。痛みを放っておかず、しっかり動かしていきましょう。