先日、令和初の国賓としてアメリカ合衆国のトランプ大統領が来日され様々な会談や式典などに参加されました。その中で格闘技好きなトランプ大統領が両国国技館で初の大相撲の観戦に訪れることが決まり、それも普段なら国技館内の貴賓室での観戦ではなく「升席」に「イス」を設置して観戦していました。
この升席にイスを設置して観戦することには伝統の大相撲側から反対意見があり「相撲は床に座布団を敷いて観戦するものだ」「イスを置くなんてありえない」など伝統や前例にないものを反対する意見がありました。
しかし私は逆にこのトランプ大統領の観戦を契機に「両国国技館を全席イスに改装してほしい」とすら思います。確かに相撲を見るのに座布団に座ってという慣例を重んじる気持ちもわかりますが、イスで観戦することの何が悪いことなのでしょうか?これを契機にイスに変えてみるべきと思います。何故なら床や座布団に座る行動は膝や腰に負担のかかる行動なので、膝や腰に不安のある方やまたは痛みのある方は避けてほしい行動になるのです。
外国人の多くの方は床や座布団に座る習慣がないから下に座るのが辛いので今回は特別なことでしょうが、これから外国人の方にも大相撲を見てもらうためにも座布団よりイスの方がいいことでしょう。座り方がわからないものや座って苦しいものを与え続けるのは「おもてなし」的にも変と言えます。伝統云々なら「歌舞伎」や「能」だって劇場はすべてイスになります。外国人を呼びやすくするためにもイスに変えるべきです。
またイスに変えることはご年配のお客様にも配慮できます。膝や腰に不安や痛みのあるご年配のお客様は床や座布団に座るのは苦痛ですし、またそこから立ち上がるのも辛いものです。大相撲はご年配の方にも人気の興行であり、その方たちも「見に行きたいけど、床や座布団には座れないからなぁ」と思っている人は多いはずです。何より1番見たい観客層が観戦しづらい座席を提供しているのは本末転倒です。
あともうひとつ言えば、土俵の前に座っている審判や親方、そして控えの力士にもイスを提供するべきです。あの身体で膝や腰にただでさえ負担のかかる体型ですから、床や座布団に座るのは負担をさらにかけてしまいます。「鍛えているからそんな些細な事」と思われるでしょうが、膝や腰の問題は力士生命に関わることですから、大切にしなければいけません。
確かに今まで行ってきたことを変えるのは大変なことです。しかし身体やこれからのことを考えて変えるときには反対意見があるでしょうが、変えていくべきです。
伝統的にイスに変えることが難しいかもしれませんが、床や座布団からイスに変えることはこれからたくさん観戦に来る外国人のお客様や、来たくても来づらくなったご年配のお客様、そしてりき氏や大切な力士やそれを支える親方や審判にもプラスになることしかないので、このトランプ大統領の観戦を機に両国国技館の座席がイスに代わってくれればうれしく思います。