首や肩、腰や膝など年齢と共に痛みや悩みが生まれてしまいます。「何もしていないのに」「年齢だからしょうがない」など思いがちですが、日常生活の中で知らず知らずに身体に対して酷使してしまう身体の使い方があります。
それは多くの人が当たり前に行い、むしろ身体に良いことと思って動かしていることが実は身体の負担になってしまうことがあります。それが「ひざの屈伸運動」です。
ひざの屈伸は多くの方がやったことがある動きであり、よくある普通の動きです。小さい時から準備体操の一環に学校の体育や部活動などでスポーツや運動を始める際にみんなで手を膝に置いてしゃがんで伸ばしてを繰り返し行うことで、脚の筋肉や関節を動かした経験があると思います。
私も子供ころから当たり前のように行い何も考えることはありませんでした。しかし現在の職業になり身体の関節や筋肉の機能を知るようになると、このひざの屈伸もあまりよい動きと言えないことを知りました。
一番の問題はひざの関節に対する負荷です。膝を屈伸する時は体重を膝に乗せた状態で曲げます。これが膝にとって一番よくないのです。言ってしまえば正座と一緒なのです。正座が膝に良くないことは多くの方が存じ上げています。
それはひざを最大限曲げた状態で体重をかけて座ります。ひざを最大限曲げた状態というのは膝の前側の関節を伸ばして、後方の関節部分には負荷がかかります。これはひざにとって一番よくない形なのです。
日本の女性が年齢を重ねると膝の痛みを気にする方が増えますが、その痛みの一因になると言われているのが正座であります(もちろん他にも膝の痛みの原因はありますが)、小さい時から正座を習慣的に行ってきた女性は年齢と共に膝の関節は酷使されてしまっています。
それならばひざの屈伸はどうでしょうか。これは正座と同じでひざを曲げる際に体重をかけてしまっているのです。ましてや下手をすると「イチ、ニイ」と声を出しながら反動をつけて行います。反動をつけて行うことは体重の何倍もの負荷がひざに生じてしまうのです。
「ひざの屈伸なんかそんなにやらないでしょ?」と思う方もいらっしゃいます。確かに運動する習慣でもなければ頻繁に行うことはないかもしれません。しかしひざの屈伸は運動というわけでもなく、何となく身体を動かす際や何かをするときについ行ってしまうのです。
もちろん1回行うからひざが痛くなることもありませんが、年齢と共に無自覚で行うと若い時には平気な事でも負担になってしまうことがあります。それが何年も何十年も続けばひざにとって問題になります。注意しましょう。